2006年11月19日

「辞引」

石山茂利夫『裏読み深読み国語辞書』(草思社,2001)に、「『辞引』が辞書に入るまで」(pp.99-103)というおもしろい文章が載っている(『日本語矯めつ眇めつ』でも同じことが述べられているそうだ)。これは、「じびき」の表記「辞引(き)」が、『日本国語大辞典【第二版】』に採録されるまでの経緯について書かれたものである。
同書では、石山氏自身が見つけた「辞引」の使用例として、井上ひさし『本の枕草紙』が挙げられているが、「知り合いの国語学者」(名前は記されていない)から教えられたものとして、横光利一『御身』(大正十三年)における使用例も取り上げられている。これが『日国【第二版】』の用例として掲載された。
中央公論社の校閲部長だった長谷川鑛平も、「辞引」という表記を好んで用いていたようである。長谷川鑛平『本と校正』(中公新書,1965)から以下に引用しておく。

岩波の小林勇さんと共に露伴については生辞引的存在だ。(p.88)


そんなら“Sea Gulls, novels”とすればよかったのに、なかなか辞引をひっくりかえしてもわからない。(p.105)

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(以下コメントによるご教示)
巌谷大四『波の跫音』 〈新潮選書〉 昭和四十九年十二月十日 発行
季雄は、それを辞引と首っびきでむさぼるように読みはしたが、それはお伽噺の内容の面白さに取り憑かれたからであった。(p20)

金関丈夫『長屋大学』法政大学出版局 1980年2月1日 初版第1刷発行 p5
例の長屋の隠居の話だと、近ごろの辞引には「やに下る」は得意の状態だとか、気どってすましているかたちだとか説明しているが、これらはいずれも少しニュアンスを欠いているのだそうだ。
posted by uratashima at 02:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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巌谷大四『波の跫音』
〈新潮選書〉
昭和四十九年十二月十日 発行
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季雄は、それを辞引と首っびきでむさぼるように読みはしたが、それはお伽噺の内容の面白さに取り憑かれたからであった。(p20)
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金関丈夫『長屋大学』法政大学出版局
1980年2月1日 初版第1刷発行
p5
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例の長屋の隠居の話だと、近ごろの辞引には「やに下る」は得意の状態だとか、気どってすましているかたちだとか説明しているが、これらはいずれも少しニュアンスを欠いているのだそうだ。
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Posted by 空山 at 2008年03月06日 01:34
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